セミナー
2021.07.26
介護業界の人手不足を解決!離職率改善と経験者採用のための新手法~介護ワークシェアリング~ウェビナーレポート
2020年以降、全世界で未だに猛威を振るい続ける新型コロナウィルス感染症。
このいわゆる「コロナ禍」により、日本の人材市場では求職者が急増。
多くの業界では、企業側が人材を確保しやすい「買い手市場」へと転じました。
しかし介護業界の事業所様においては、人材獲得やスタッフの定着に依然苦労している…
という場合も多いのではないでしょうか。
「経験者を採用したいのに応募が来ない」
「今働いている職員の離職を減らしたい」
「今後の介護職の人材不足に不安を感じる」
こうした事業所様のお悩みに応えるべく、株式会社ノーザンライツ×カイテク株式会社
共催ウェビナー「介護人材マーケットの動向と新たな人材イノベーション」を6月23日に開催。
介護人材市場の動向を通して見える「今後の介護業界」と「新時代の採用手法」を
ご説明させていただきました。本レポートではその内容を振り返ります。
*講演者*
一部:株式会社ノーザンライツ 代表取締役 山根 康宏
二部:カイテク株式会社 代表取締役 武藤高史様
4年後には55万人も不足!需要増え続ける"介護職"。その雇用を増やす「カギ」とは?
ナゼ?いま日本全体は「買い手市場」なのに、介護業界は「売り手市場」
日本の人材市場において、雇用景気の目安となる「有効求人倍率」。
有効求人倍率が”1倍”のとき、1人の求職者に対し1つの求人がある状態となります。
この”1倍”の状態が理想といわれるなか、20年度の平均有効求人倍率は1.18倍を記録。
19年度の1.6倍の状態から新型コロナウィルス感染症の影響で大きく変動し、
日本全体では求人よりも求職者の方が多い「買い手市場」へと進みました。
ところが介護職に限定すると、その倍率は3.44倍(20年3月)。
前年の3月と比べると0.66倍も上昇し、企業側にとって採用が難しい「売り手市場」が
続いています。それはなぜでしょうか。
その理由の1つとして、外せないのが「少子高齢化」です。
65歳以上は年を追うごとに増え続けていきますが、25~65歳の総労働人口は減り続けています。
その構造が介護職の需要を伸ばし続けており、2025年度には約55万人の人出不足、
2035年度には約69万人不足※すると予想されています。
(※平成30年/厚生労働省社会・援護局データによる)
そこで厚生労働省が発表した「2025年に向けた介護人材の構造転換」では、
多彩な人材を確保することで裾野を広げ、介護業界への人材の参入促進を目指しています。
つまり今後こうした状況を打破するためには、未経験やアクティブシニア層といった
「新たな雇用層」を獲得する必要があるのです。
「業務の切り分け」が、新たな雇用層獲得と離職率低下を実現!
とはいえ「今まで未経験歓迎もシニアも採用したことがない…」という場合、
どのように受け入れていけばよいか不安ですよね。
そのお悩みを解決する方法が、現場の業務改善に伴う「業務の切り分け」です。
例えば、介護職として雇用したスタッフが居室清掃をしたり、書類作成をしたり…。
でもちょっと待ってください。この清掃や事務といった作業は、未経験でもできると思いませんか?
このような業務を「清掃スタッフ」「事務スタッフ」などに切り分け、新たに雇用した人材に任せます。
そして介護職には有資格でないとできない身体介護などケアに集中してもらいます。
そうすることで新たな雇用層を創出し、今いる介護スタッフの負担を減らすことに繋げます。
介護業界以外でも、そうした取り組みが進んでいます。
ある女性向けアパレルショップA店を例にあげましょう。
人材不足に悩んでいたそのお店では、今まで「正社員の女性」しか雇用を
おこなっていませんでした。
そこで、
①主婦のパートや短時間で働ける人物を採用し、時間の割り振りを考えて人員を増加
②男性スタッフを雇用し、バックヤードでの荷物運びといった力仕事を任せる
こうした改善を行った結果、全体的なスタッフ間の負担が減り離職率も下がりました。
「切り分け」導入で総じてプラス効果へ。環境が改善され離職率低下にも
重要なのは、この改善に踏み切れるどうか。
そこで、今まで弊社ノーザンライツがサポートしてきた介護事業所様が
実際に切り分け作業を行ったときに起こった事象をまとめました。
・総労働時間→若干増える。労働時間は増えるが介護職の残業は削減。
・人件費→ほぼ変わらない。もしくは微増。有資格の残業代などが削減されるため。
・離職数→減少。介護福祉士は勤続年数があれば介護報酬加算になるため、メリットも。
・採用難易度→低くなる。マニュアルがあれば教育時間を多く必要としないため。
・責任者の管理→切り分けやシフト管理などの能力が問われる。
ただ、やるまでは大変だが難易度は高くはない。
いかがでしょうか。確かに人材を増やすことで総労働時間は増える場合もありますが、
1人あたりの負担が減ることで離職率が減り優秀な人材の流出を防ぐなど、
総合的にみてメリットがあり、現在のある問題を解決します。
ある有料老人ホームのA社では、介護職(初任者研修以上)を朝のみ、
または夕方のみのパートタイムで募集しました。
すると掲載後すぐに1名採用、現在2名が採用され、今いるスタッフの労働環境も改善されたそうです。
新しい「メディアミックス」で、固定概念にとらわれない人材獲得を
今までの採用活動は「紙の求人媒体を複数用いて広告を出す」という意味での
「メディアミックス」が一般的でした。
しかしインターネットが普及した現在では、求人媒体以外にも求職者側が企業を選べる
選択肢が数多く存在します。
同業種だけでなく異業種の情報も積極的に収集したり、業務の切り分けやITを導入するなど、
様々な手法を組み合わせる新時代の「メディアミックス」を行っていくことが、
今後の人材獲得には重要となるでしょう。
そしてその手法の一つとして、ぜひ次の項目で紹介する「介護のワークシェアリング」も
ご検討ください。
人材不足・現場環境を改善!新時代の人材サービス"ワークシェアリング"
政府・地方自治体からも賞賛!月次130%成長率を誇る話題の「カイスケ」とは?
「ワークシェアリング」という言葉をご存じでしょうか?
昨今の失業率の上昇、長時間のハードワークを背景に生み出された、
“仕事を分け合いながら労働者1人あたりの負担を減らす”新しい方法です。
「カイスケ」は、ITを駆使して有職者の人と介護施設をつなぐ”介護専門”の
ワークシェアリングサービス。
必要なときにいつでも利用でき、即戦力の有資格者と70~90%の高い水準でマッチングできます。
現在、カイスケの導入実績は現在350件、登録介護職数は3600人。
上場企業から地域密着型の小規模事業所まで様々な企業様が導入。
登録事業所・介護職数は月次で130%の成長率を誇るなど、いま急成長中の新しい人材サービスです。
現在は関東と愛知・静岡のみの運用ですが、今後関西や他の地域でも展開予定となっています。
この取り組みは日本国内で大きく評価され、経済産業省のジャパンヘルスケアコンテストでは
最優秀賞、総務省の企業家万博では総務大臣賞を受賞、ほか全国各自治体からも
さまざまな表彰を受けています。
このことに対し、代表取締役の武藤様は「今後介護職が不足するなか、国からも解決策の一つとして認めてもらえているのでは」と分析。
厚生労働省では、今後の介護職不足解消のために介護業界での兼業・副業を推進。
自治体と組んだモデル事業の展開を今年度から開始します。
こうした流れからも、今後介護業界においてワークシェアリングは採用のスタンダートになっていくと考えられます。
「カイスケ」はどう使う?メリットは?
カイスケはなぜこうした急成長をとげたのでしょうか?
それは、介護業界ならではの人員不足の悩みに直結できるから。
介護の現場では24時間業務が必要なため、働き手が減っていい時間帯がありません。
運営側は、急な退職が起こった場合にシフトの穴をふさぐ人材が必要となります。
しかしながら人材派遣業界の手数料は年々高騰化しているため資金面で負担が大きいことや、
時間がとれずスピードで採用してしまうため応募者を見極められず早期退職してしまうなどの
問題が頻出しているのが現状です。
こうした問題を解決できるのが「カイスケ」です。
企業様から見たメリットを一例として挙げていきます。
★シンプルなインターフェース
ほしい人材を4つの項目で絞る(例:9~18時のデイの時間で、必要な日にちを指定する)
だけですぐに募集可能。パソコンやアプリの作業に苦手を感じる人も始めやすい。
★掲載費・維持費無料
費用は働き手側への時給に手数料を上乗せする形で発生。
そのため掲載時の負担が少ない。また気に入った働き手は採用も可(プラン有)。
★給与支払いの建て替え
働き手の給与はカイスケ側が建て替え。
企業様は働き手1人1人へ給与の事務処理をする必要がない
★QRコードを用いた出退勤管理
事業所側での紙の準備などの必要なし。
★相互の評価システム(※特に人気)
働き手から事業所への評価や、事業所側から働き手への評価ができる
このように、コストや事務作業の負担を削減しつつ、いい人材を集めることができる
しくみとなっています。
多くの事業所様がご満足!良い人材が確保できる「仕掛け」とは?
しかしこの「良い人材」とどうしてマッチングできるのでしょうか?
その仕掛けは、働き手側の複雑な”登録基準”にあります。
働き手は、初回勤務時に必ず「資格証、身分証、顔写真提出」を提示してもらいます。
企業側は働き手を経験・スキルで絞り込めるため、事前のミスマッチを防ぐことが可能。
また、働き手には信用スコアを設けており、無断欠勤や当日キャンセルの多い働き手は
カイスケを利用できなくなるなどの対策も講じられています。
そして良い働き手はお気に入り登録もできるので、利用すればするほど、
各事業所にあわせた人材プールを作っていくことができるのです。
マッチング率は70~90%。
このマッチング率に差がある理由は初回勤務時に施設のファンになるしかけづくりが
できるかどうかによります。
初回時に1日の流れを話したり、特記事項を説明したり、実際に来てもらって自社情報を
つたえることが重要です。
もちろん、カイスケ側からも成功事例を含めてサポートしていきます。
相互評価システムで現場の改善も可能に!
カイスケでは相互評価システムを取り入れています。
上記で働き手側の信用スコアやお気に入り評価ができるとご説明しましたが、
逆に働き手側からも施設を評価できるしくみになっています。
働き手にとって、エリアの事業所と比較してどうだったか?
例えば「業務指示があいまいだった」、「お手洗いが綺麗でなかった」…など、
責任者にとって当たり前で見えていない点なども、第三者の視点を通して気づきやすくなります。
実際に、評価がよくなかったある事業所様と一緒に行動改善を伴走した結果、
職場環境が改善、評価が上がるようになった事例もあります。
つまり、単純に人が来て業務が助かるだけでなく、現場の課題解決につながる評価データの
蓄積を実現することで現場の改善もできるのです。
カイスケを利用する働き手のうち、8割は現在も介護事業所で働く方です。
多くの働き手は、面倒な手続きなしで働きたい、せっかく得たスキル(資格)を
活かしたいと考えており、そうした働き手と事業所様を結びつけるのがこの「カイスケ」です。
今までの<1事業所=数名~数十名の雇用>ということではなく、
<1事業所=コアになるメンバー+地域の50~数百名>と繋がる世界(コネクテッドワーカー構想)を実現します。
最初の1歩は大変かもしれませんが、まずはぜひ"挑戦"を。
いかがでしたでしょうか。
・介護に携わる新たな層の獲得のための「業務の切り分け」
・より即戦力や有資格者とつながる「ワークシェアリング」
“介護職の人材不足解消”といっても、さまざまなアプローチができますね。
やりかたは1つだけではありません。時代に合わせた柔軟な採用活動で労働環境も改善していきましょう。
今後の人材不足に立ち向かうための判断材料として、ぜひ参考にしてみてください。