外国人採用
2022.12.26
介護業界の人手不足に対する打ち手は?
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大により、私たちの生活は大きく変化しました。
働き方や雇用状況にも影響を与えたのは言うまでもありません。
そのような中で、介護業界の雇用状況はどのように変化してきているのでしょうか。
本記事では、介護業界がなぜ人手不足なのか、現状の把握と、その背景と原因を振り返りながら、今後の対策についてご紹介します。
介護業界の求人マーケット
厚生労働省が発表している有効求人倍率(含パート)の推移から求人マーケットを見ていきましょう。
コロナ前から現在までの有効求人倍率の変化
厚生労働省によると、有効求人倍率の年間平均は、コロナ以前の2019年は1.6倍。
コロナ禍において、2020年は1.18倍と前年より0.42ポイント下がり、2021年は1.16倍と前年を0.06ポイント上回りました。その後、2022年に入り徐々に上昇し始め、10月時点では1.35倍に。コロナ以前には戻っていないものの、増加傾向にあります。
介護業界の変化
全体の数値に対し、介護業界の変化はどうなっているでしょうか。
職業別の有効求人倍率を見ると、介護サービスにおいては2019年10月で4.51倍とコロナ以前から全体に比べて非常に高い倍率です。2020年10月3.85倍、2021年10月3.64倍とコロナの影響でポイントは下がっているものの、コロナ禍においても売り手市場であることがわかります。
そして2022年10月時点では3.79倍まで上昇し、介護業界にとっては人手不足の状態が依然続いています。
介護業界が人手不足の背景と原因
少子高齢化の日本において、介護業界の人手不足は大きな問題となっています。
その背景と原因を見ていきましょう。
介護業界の人手不足となる背景
・高齢化
日本では2025年問題が迫ってきており、高齢化社会の加速は介護業界だけでなく、どの業界においても影響を与えています。内閣府が提出している「令和4年版高齢社会白書」*によると、
2021年10月1日時点の日本の総人口は1億2550万人に対し、65歳以上の高齢者は3621万人で、総人口の約3割を占めていて、今後も高齢者の割合は増加傾向にあると考えられます。
・少子化
戦後、第2次ベビーブーム(昭和46~49年)の出生数は816万1627人でした。それ以降、減少を続けており2022年は77万人前後となる見通しで、2065年には56万人になると言われています。
その影響を受け、生産年齢人口は今後も減少していくと予測され、2029年には6951万人、2065年には4529万人まで減る見込みとなっています。
このような結果から、日本全体で介護を必要とする高齢者が増え続け、介護を担う若者が減っていく悪循環に陥り、介護業界における人手不足に拍車をかけています。
介護業界で人手不足となる原因
介護業界で人手不足が起こる原因は上記でお伝えした「少子高齢化」の背景もありますが、
他にも介護現場で起こっている問題もいくつかあります。
・採用が困難
人手不足の理由で最も多かったのは86.6%で「採用が困難」となっており、その原因としては「他産業に比べて、労働条件等が良くない」が 53.7%、「同業他社との人材獲得競争が激しい」が 53.1%という結果でした。介護職を希望する人材が少ない上に、競合との取り合いが激化している状態となっています。(※令和2年度「介護労働実態調査」)
・職場の人間関係
「採用が困難」という理由に次いで「離職率の高さ」が挙げられますが、離職理由で最も多い原因は「職場の人間関係」18.8%でした。介護の仕事は、介護者や介護者の家族、他の職員や医療機関スタッフなど様々な人と関わる必要があるため、人間関係やストレスを感じて辞めてしまう人も多くいるのです。(※令和3年度「介護労働実態調査」)
・仕事内容のわりに社会的評価が低い
2020年の介護職全体の平均年収は363.1万円。処遇改善加算の拡充や特定処遇改善加算の新設などにより、2017年の平均年収350.1万円から13万円もアップしているものの、全体産業の平均と比較すると、その格差は2020年で96万7100円とまだ大きな開きがあると言えます。
(※UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査)
介護業界人手不足への対策
ここまで介護業界における人手不足の背景や原因をお伝えしてきましたが、ここからは、実際に人手不足を解消するための対策をご紹介していきます。
介護ロボットやITシステムの導入で効率化
・介護ロボットの活用
人手不足の介護現場にとって、日々の業務効率化は必要不可欠となっています。
そんな現場をサポートとする一つとして介護ロボットの活用が挙げられます。介護ロボットには様々な種類がありますが、例えば移乗介助ロボットを活用することで2人以上で行っていた移乗介助を1人でも行いやすくなったり、見守り支援ロボットを導入することで夜間の見回りを大幅に削減でき、転倒を検知して事故防止にも役立てることができたり、スタッフの負担軽減を実現することができます。
・ITシステムの導入
介護職にとって、日報や介護記録などの書類作成はとても重要な業務ですが、多くの施設でいまだ手書きやExcelなどの対応となっており、作業の負担になっています。これらの作業をデジタル化できれば、作業時間の削減やその時間を介護サービスにあてることができ、サービスの質の向上も期待できます。
外国人の受け入れ
・特定技能
人手不足の解消として期待されているのが、外国人人材の活用です。2019年4月から新しい在留資格として「特定技能」が導入され、介護の分野でも外国人の就労が可能となりました。外国人を受け入れることで、長期間の雇用の確保や若い人材の確保が可能となり、スタッフの負担軽減にもつながります。受け入れ側の理解や事前準備は必要ですが、人手不足を改善する一つの対策として考えてみてはいかがでしょうか。
・外国人トライアル導入
入管の「特定技能在留外国人数(令和4年6月末)」によると、現在介護における1号在留外国人は3月末に比べ3422人増の1万411人、1ヶ月あたり約1140人が新たに介護の職務に就いていますが、政府が目標としている2024年4月までに6万人を受け入れるには、このペースでは届きそうにありません。では、なぜ人手不足であるはずの介護業界で、特定技能の受け入れ人数が増えないのでしょうか?やはり、導入に際し様々な不安があるようです。その不安を解消する方法の一つに弊社では「外国人トライアル導入」のサービスを提供しています。2週間~3週間の短期間、特定技能に合格した外国人をトライアルで受け入れて、お試しできるプランです。まずは実際に体験してみるのも人手不足解消の第一歩ではないでしょうか。
採用手法の見直し(採用ブランディング・採用オウンドメディアの活用)
・採用ブランディング
「求人を出しても知名度がないから採用できない」「競合他社より条件が低いから採用できない」そんなお悩みを抱えている企業様へ、自社を「ブランド化」する採用ブランディングを考えてみるのも一つの方法です。「この会社で働いてみたい」という自社の「ファン」を増やすために、企業理念やビジョン、職場の雰囲気などについて、戦略的な情報発信を行います。魅力的なブランドイメージが確立できれば、応募者の増加・ミスマッチの解消・採用コストの削減など様々なメリットが得られます。ただし、認知度が向上するまでにはある程度の時間が必要になってくるので、他の採用手法と組み合わせながら長期的な取り組みを実施していくことをお勧めします。
・採用オウンドメディア
採用ブランディングの一つとして、「採用オウンドメディア」の活用をご紹介します。オウンドメディアとは、自社で管理や運営をしているメディアのことで、自社保有のブログやWebサイト、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントもそれに含まれます。そのオウンドメディアを活用して、潜在層に向けた情報発信をするのが採用オウンドメディアの特徴です。従来の採用サイトとは異なり、企業の魅力やメッセージを発信することで、企業への興味・理解を促し、自社への「ファン」を増やしていく。そうすることで、潜在層の転職者が実際に活動を始めたときに、自社が選ばれるような機会を作っておくという手法です。
ある企業様は、「もっと自社の魅力を発信してブランドを確立したい」「一緒に働く人たちに自社の魅力を伝えたい」そんな想いから、採用オウンドメディアを立ち上げ運用をスタート。自社のリアルな魅力を発信し続け、アップされた記事は230以上。学生や内定者への100%認知を目指している中で、立ち上げから2年経過した頃、新卒社員からこのサイトを見ていたと声をもらえるまでになり、自社のファンを増やす活動を続けています。
※下記、採用ブランディングについてご紹介している記事です。こちらもご覧ください。
介護単発バイトアプリ「カイスケ」の導入
人材の「取り合い」ではなく「助け合い」のネットワークで人手不足をカバーするアイデアを形にした”介護専門”のワークシェアリングサービス「カイスケ」。
人手が必要な介護現場と、仕事をしたい有資格の介護ワーカーをつなげるマッチングアプリです。必要なときにいつでも利用でき、即戦力の有資格者と70~90%の高い水準でマッチングできるため、政府や地方自治体からも高い支持を得て注目を集めています。
【特徴】
・初期費用・月額固定費用0円
・1日数時間単位から人員の補充可能
・登録者の7割以上が有資格者
・勤務後、相性が良ければスカウトして採用も可能
取り組み事例
介護業界における人手不足の対策として、弊社取組で実現した事例をご紹介します。
外国人受け入れの場合:どんなハレーションが起こるのか?まずはトライアルから!
一緒に働くスタッフのみならずご入居者様やそのご家族様など、外国人を採用した後に現場ではどのような問題が起こるのか、どんなマニュアルを準備すればいいのかなど、色々と知る必要があります。そこで、当社では2週間~3週間のトライアルプランをご用意しています。介護分野の特定技能資格を保持している外国人人材を、一定期間一緒に働き、受け入れに向けて検証するプランです。実際にこのトライアルプランを導入した企業様が、スムーズに外国人の受け入れを実現することができ、現在8名の外国人人材が活躍するに至っています。
※詳細については、ぜひお問い合わせください。
自社に最適な対策を!
いかがでしたか?
介護保険事業計画によると、2025年には約243万人の介護人材が必要となり、約32万人不足していることがわかりました。介護人材を量と質の両面から確保するために、「介護未経験者の参入促進」や「介護の仕事の魅力発信」など、国と地域が二人三脚で様々な対策を講じていますが、企業様においても自社の課題に合わせた対策は必要です。今回ご紹介した対策でまだ実施していない取り組みがあれば、ご検討してみてはいかがでしょうか?
ノーザンライツでは幅広い人材採用サービスを提供しています。
「外国人の受け入れ」や「採用オウンドメディア」についても対応が可能ですので、
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