外国人採用
2020.10.27
外国人留学生がアルバイトでオーバーワーク(28時間制限)に違反した場合の罰則とは?
外国人留学生が日本でアルバイトを行う際の労働時間は、法律で1週間28時間までに定められています。
この上限を超えたことが発覚した場合には、雇用者側と労働者側の双方が罰則の対象になります。
この記事では、時間制限に関する罰則の内容とオーバーワークにならないためのポイントについてお伝えします。
オーバーワークが発覚する理由
それではなぜ、オーバーワークが発覚してしまうのでしょうか。
在留管理制度の厳格化
2012年に導入された新しい在留管理制度では、従来の外国人登録法に基づいて行っていた二元的な在留管理の制度を改め、中長期在留者について、法務大臣がその在留状況を一元的かつ継続的に把握できるようになりました。
この制度では、①上陸許可、在留期間の更新許可、在留資格の変更許可等に伴って在留カードが交付されるほか、②中長期在留者本人から法務大臣への在留状況に係る変更届出、③勤務先等の所属機関から法務大臣への情報提供などにより、法務大臣が当該外国人の在留状況をこれまでより正確かつ継続的に把握することができるようになっています。
つまり、入国管理局は外国人留学生のアルバイトの状況をより簡単に把握できるようになったことで、オーバーワークも発覚されやすくなったのです。
納税証明書や第三者の通報により違反が発覚することも
住民税を決定する市区町村が発行する課税証明書や納税証明書には、外国人留学生の収入額が記載されます。収入額が大きければ、当然規定の時間を超えて働いていることが疑われてしまいます。
また、入国管理局による事業所への実地調査、警察や労基署その他の役所の各種調査、同僚や友人などの近隣住民や同僚などの第三者による通報により違反が発覚することもあります。
時間制限を超えて働いた場合の罰則
外国人留学生が時間制限を超えて働いた場合には、どのような罰則が与えられるでしょうか。
雇用者側は300万円以下の罰金が科せられる可能性がある
外国人留学生は、在留資格「留学」で日本に滞在しているため、基本的には金銭を伴うアルバイトは認められていません。ただし、入国管理局が発行する「資格外活動許可」を取得していれば週28時間、夏休みなど在籍する教育期間が定める長期期間中は1日8時間以内のアルバイトが可能です。
外国人を法律で定められた時間以上働かせた場合、雇用者側は不法就労助長罪の対象になります。不法就労助長罪は、不法就労をさせたり不法就労を斡旋したりした者に3年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその両方を科す罰則です。
たとえ雇用者が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードの確認不足など企業の過失がある場合には処罰を免れません。
労働者側は強制退去となる場合がある
アルバイトをする外国人留学生が決められた時間を超えて働いてしまった場合、資格外活動許可違反となります。これにより、留学ビザの更新時や、留学ビザから技術・人文知識・国際業務などの就労ビザへの変更申請の際、資格外活動許可違反を理由にビザの更新や変更が不許可になってしまいます。
さらに、不法就労は退去強制の対象となる可能性もあります。退去強制とは、不法行為を行った外国人を強制的に日本から退去させることで、退去強制された外国人はその後5年間日本に入国ができなくなてしまいます。
近年は、オーバーワークにより帰国した者が留学生として再来日することは非常に難しくなっているため、十分気を付けましょう。
時間オーバーにならないために雇用者側が気を付けるべきこと
週28時間のアルバイト時間を超えないために、雇用者側は何に気を付ければ良いのでしょうか。
ダブルワークについて確認する
現在は留学生をアルバイトとして雇用する企業も増え、週28時間の時間制限はほとんどの企業が知っていると思います。ただ、外国人留学生のなかには別の職場でダブルワークをしていて合計すると28時間を超えてしまっているケースもあります。
仮に、その事実を雇用側が知っていたうえで28時間以上のアルバイトを容認していたり、ダブルワークをしているかどうかの確認を怠っていれば、やはり罰則の対象になります。
まずはダブルワークの有無を確認し、行っている場合は定期的に別の職場での勤務時間を報告してもらうようにしましょう。
管理や注意義務の遂行が立証できるように対策する
前述の通り、たとえオーバーワークの事実を知らなかったとしても、雇用者として行うべき確認を怠っていたとしたら罰則の対象になります。在留資格の確認やアルバイト時間の管理など会社として注意義務を果たしていたことが立証できるよう、外国人留学生を雇用する際の仕組みを整えましょう。
オーバーワーク等のトラブルを防ぐためには雇用者と信頼関係を築くことも大切
これまでお伝えしてきたとおり、外国人留学生の労働時間の超過が発覚した場合は、雇用者側である企業の責任問題にもなります。また留学生は本来の目的である留学は継続できずに強制帰国となる可能性もあります。「知らなかった」ではすまされないため、自社での時間管理を行うのはもちろんのこと、他社での勤務状況も含めてきちんと把握するようにしましょう。そのためには、日常的に雇用者とコミュニケーションをとるなどお互いの信頼関係を築くことも大切です。ルールをしっかりと守り適切な雇用を行いましょう。