株式会社壱番屋(以下、壱番屋)はあらゆる行動の中核とする「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」というグループビジョンを掲げ、国内外においてカレー専門店『CoCo壱番屋』、愛知県と岐阜県において、あんかけスパゲッティを中心としたメニューが並ぶ『パスタ・デ・ココ』の2つのブランドを展開しています。壱番屋では、フランチャイズ(以下、FC)加盟店舗とのパートナーシップ強化や従業員の労働生産力向上などのビジョンを含む、10の重点項目からなる「壱番屋長期ビジョン2030」を定めています。
- ■社名
- 株式会社壱番屋
- ■雇用形態
- アルバイト・正社員
- ■業種
- カレーハウスCoCo壱番屋の運営 他
- ■エリア
- 全国
- ■従業員数
- 1,228名(連結)
【課題①】本社によるFC加盟店舗支援を行うも採用支援は未着手
同社はブルームシステムと呼ばれる独自の独立支援制度を設けておりFC店舗開発を積極的に行っています。FC加盟店舗が全体の約90%を占める壱番屋では、従来からマーケティング部(旧称:本社 店舗支援課)による多岐にわたるFC店舗支援を行っていました。
しかしながらノーザンライツの提供するワンストップリクルーティング(以下、OSR)を導入する以前、そうしたFC店舗支援の中に採用支援は含まれていませんでした。
【課題②】法人単位で採用活動を行うも、グループとしての管理は煩雑に
ノーザンライツとの取引が開始する以前まで、FC加盟店で求人を行う際はFC加盟法人ごとに行われていました。そのためグループ全体にすると1,000を超える店舗を運営する壱番屋では、すべての法人の採用予算や実績を本社が把握できずにいました。採用に対する意識や採用手法は法人ごとに千差万別であったことから、採用の効率化がグループとしての課題となっていました。
FC加盟法人での採用がブラックボックス化されていることで、全国に点在する採用困難店舗が壱番屋グループに存在するのかも把握ができない採用環境にあったとマーケティング部の鈴木氏は当時を振り返ります。
近年の全国での慢性的な人材不足に加えて、そういったグループ課題の背景からFC加盟店舗への支援を強化していた壱番屋のマーケティング部では、FC加盟店舗への採用支援も検討をしている最中であったといいます。
【課題解決・ソリューション】本部と協業し、FC加盟店舗への採用支援を開始
壱番屋ではFC加盟店舗への支援強化施策の一環として採用支援に着手をし、グループ全体の採用課題解決を図るべく取り組みを行ってきました。壱番屋がそうした支援強化に取り組む最中、ノーザンライツは課題解決に向けたトータル的な採用ソリューションとしてOSR提案を行いました。同じグループであるにもかかわらず法人ごとに採用活動を行っていることの問題提起をし、「壱番屋グループ採用支援センター」の設置をご提案しました。「壱番屋グループ採用支援センター」とは、壱番屋本部とFC加盟店舗間で採用に関する相談をすることができるイントラネットを設置し、採用に関する悩み事や相談事をいつでも受けることのできる体制の呼称です。ノーザンライツによるOSR提案の目的は、FC店舗を含めた壱番屋グループ全体の採用実務負荷の軽減や採用手法の拡大を実現する採用スキームの構築、定例報告会の実施による直営店舗の成果の可視化などのトータル的な成果をあげることでした。
当時の提案内容について現担当のマーケティング部 鈴木氏は次のように語ります。
「OSR提案の中には求人窓口を一元化することによる求人メディアのボリュームディスカウントプランの提案を含んでいました。具体的には各求人メディアの特別キャンペーンの起案や求人メディアの運営会社(以下、版元)に対し交渉を行うことによるボリュームディスカウントの実現などが挙げられます。FC加盟店への採用支援を模索していた我々はボリュームを活かした採用支援を図ることができないかと考えていた背景もあり、ノーザンライツのトータル的かつ具体的な提案を受け入れ、ノーザンライツとの取引を開始しました。」
ノーザンライツによるOSR提案は壱番屋グループ全体を巻き込んだ大掛かりな構想であった一方、地道な活動の積み重ねを行う提案であったともいえます。
壱番屋への採用支援を開始したノーザンライツは本部と協業し、FC店舗間でのイントラネットなどの構築要件を整理することに並行して、FC加盟法人への採用支援を開始しました。FC加盟法人の意思を尊重する壱番屋グループとしては、ノーザンライツへの発注はあくまで推奨です。そのため、取引開始当初から2022年現在に至るまで各法人へノーザンライツがご提案を行うなど、地道な採用支援活動を続けています。そうした活動に加えて、FC加盟店舗のオーナー様に向けて採用マーケットの勉強会を不定期に実施しています。
FC加盟店への採用支援に加えて、ノーザンライツによる版元との特別プラン開発の交渉を開始しました。版元とディスカウントプランの要件や価格の交渉を積み重ねたことで、数多くの店舗を運営する壱番屋ならではのボリュームを活かした特別な求人掲載プランの提供を実現しました。開発した特別プランの一例として、本部がFC加盟店舗を取りまとめた上でノーザンライツへ発注することでボリュームディスカウントの恩恵を受けることができるFC加盟店向けのタウンワーク枠得プランや、IndeedのFC加盟店向けの特別プランが挙げられます。
【成果】直営・FC店舗に異なるアプローチを実施、グループ全体のPDCAを改善
壱番屋ではOSRを導入後、表面化している採用課題解決に向けた施策の検討及び潜在的な課題の抽出が可能となりました。採用課題解決に向けた検討や潜在的な課題抽出を行うにあたっては月次で行っている定例報告会が一翼を担っています。
「まずOSRによって本部が直営店舗の採用活動状況を把握することのできるデータを得ることができるようになりましたが、可視化された直営店舗の採用データを基に月次定例報告会の中で、ノーザンライツはデータの分析結果や課題解決に向けた対策についての報告をしてくれます。これによってトレンド毎の適切な施策を検討・実施できるようになりました。」(鈴木氏)
直営店舗に対する採用活動の成果に加えて、FC加盟店舗での成果と併せてグループ全体の成果を鈴木氏は以下のように説明します。
「これまでブラックボックス化されていたFC加盟店舗に対し、ノーザンライツが個別相談を直接受けることのできる採用スキームを構築し直営・FC店舗それぞれに異なるアプローチで採用課題解決を図る体制を築いています。」
しかしながら、広範囲に及ぶFC加盟店舗が採用支援対象になったことで、かえって業務負担が増えてしまったという課題が表面化しました。
その課題の解決を図るとともに採用DXの一環としてさらなる採用活動の効率化を図るため、本部が主導して採用管理システムであるATSの導入を実現しました。ATS導入に加えて、応募窓口となるコールセンターの導入もしました。コールセンター導入にあたってはノーザンライツがコールセンター選定からご紹介といった支援を行いました。ATSやコールセンターによって、壱番屋グループの採用活動はより効率的かつ省力化されたといいます。
成果を向上させた背景には、OSRという抜本的な採用活動改善や環境改善によるところがある一方で、FC加盟店舗のオーナー様に向けて実施した採用マーケットの勉強会も影響しています。鈴木氏はノーザンライツと取引開始以降の壱番屋グループの採用意識の向上について次のように評価します。
「ノーザンライツと取引するまでは多くのFC加盟店のオーナー様は求人ニーズが発生した際、どこに求人をお願いすればよいのか、自店舗で働くアルバイトさんの待遇や条件面は適切なのかといったことが不明確なまま採用活動をしていたように思います。今は、採用のことはノーザンライツに一度連絡をすれば、店舗ごとに適切な採用条件を設定したうえで求人広告をメディアに掲載してもらうことができます。また、同社と協業しながら採用マーケットのトレンドや情報を伝え、採用の重要性を啓蒙してきたことで、FC加盟店舗だけにとどまらず、グループ全体での採用に対する意識や取り組み方が大きく変化したのではないかと評価しています。」
全方向でWin-Winの仕組みをつくり、より高度な採用活動へ
壱番屋グループの採用活動は、次のステップとして直営店舗とFC店舗を包括した全体最適化の実現に差し掛かろうとしています。
「ノーザンライツは10年以上の長くにわたり、壱番屋グループの採用活動に貢献してきたと考えています。今後は全店舗に対して最適な求人メディアやツールを模索しながら、すべての現場の効率化と省力化を積極的に図っていきたいと考えています。」(鈴木氏)
加えて、見据えている将来構想について鈴木氏は次のように述べます。
「全体効率化を推進するにあたりノーザンライツの持つ高い分析力を活かして、FC店舗含む全店舗の採用単価・応募単価といった指標の可視化などの施策を実施したいと考えています。各指標を可視化できればすべての店舗に対して、適切な対策を検討・実施ができるようになります。将来的には現場における応募者対応から採用にいたるまでのフローの簡素化と省力化を実現できるのではないかと見据えています。採用の効率化が、店舗の生産性向上に直結するようにもなります。全店舗でそれらを実現するにはAIツールの導入やDX化を欠かすことはできないでしょう。この将来構想は当然ながら、壱番屋本部だけがメリットを享受するものではありません。FCオーナー様とその店舗、求人へ応募する求職者とその求人を手配するノーザンライツといったような壱番屋グループの採用に関わる全てのステークホルダーにとってWin-Winとなる仕組みの基盤になると考えています。壱番屋グループを支えてくださる皆様とともに、今よりさらに高度な採用活動を実現していきたいですね。」