採用チャットボットの導入で採用コストを最適化。コロナ禍で膨らんだ応募者対応費用の圧縮に加え、採用歩留まり向上にも寄与。
- ■社名
- サトフードサービス株式会社
- ■雇用形態
- アルバイト・パート
- ■業種
- 飲食店の経営およびフランチャイズ本部の運営等
- ■エリア
- 関西・中部・関東
- ■従業員数
- 正社員696名
パート・アルバイト7576名(2023年3月時点)
【導入前の課題】
採用市場の高まりに伴い、投資対効果の最適化が必要に
サトフードサービス株式会社様(以下、サトフードサービス)は「私たちは、食を通じて社会に貢献します。」という言葉を理念に掲げ、和食さとや天丼・天ぷら本舗さん天といった和食に特化したレストランを国内外に展開しています。また、和食レストランの先駆けとして和食のチェーン化に成功し、和食さと業態においては約200店舗を展開していることに加え、グループ総店舗数としては約800店舗を運営しており、和食レストランを運営する企業としては業界No1を誇ります。そんな同社はコロナ禍においても積極的な採用戦略をもって活動に取り組んでおり、2021年〜2025年の中期経営計画において人時生産性の向上を重点テーマに据えるなど人材開発にも力を注いでいます。
コロナ禍においては働き手が溢れ、応募が急増するといったことが珍しくありませんでしたが、同社もその煽りを受け各店舗の求人への応募が急増しました。それに比例するように応募受付対応を行うコールセンターによる面接設定数も増加したことから「コールセンター費用の抑制を含めた投資対効果の最適化を図る必要に迫られた」と同社のアルバイト・パート採用を担当する奈良平氏は当時を振り返ります。
応募数が急増する一方で、コールセンター費用の抑制が採用課題に
コールセンターによる予算圧迫が他の採用活動へも影響する恐れがあると考えたサトフードサービスは、即座に改善活動への取り組みを開始します。まず取り組んだのは、スクリーニングの強化です。もともと同社が展開する店舗への応募は高校生が40%〜50%を占めていたことから、面接設定数を減らすための一時的な措置として応募条件に「高校生不可」を追加しました。その一方では、奈良平氏はこの施策について次のように述べます。
「面接設定数や採用数への影響も考えられたことから抜本的な解決には至りませんでした。一時的な改善施策でなく恒久的に提供できる手法を探す必要があるのではと強く感じました。」
サトフードサービスでは以前より応募受付を担当するコールセンターを導入していました。従来、求人メディアへの応募をATSが取り込み、その情報をもとにコールセンターが応募者対応を行っており、コールセンターによる面接設定が完了したら、各店舗の店長が面接の設定内容を確認し面接対応を実施していました。この従来の応募受付の枠組みを大きく変えずに改善施策を模索していた中で、この課題を解決に導くため2018年から同社のアルバイト・パート採用においてトータル支援をしているノーザンライツは採用チャットボット『リクター』を同社へ提案しました。
【課題解決・ソリューション】
ピンポイント施策としての採用チャットボット『リクター』
ノーザンライツから『リクター』の提案を受けたサトフードサービスでしたが、この提案を即座に受け入れることはできませんでした。採用チャットボット導入にあたっては次のような懸念があったことから慎重であったと奈良平氏は述べます。
「チャットボットに対してコスト軽減や同業種での成功事例や夜間応募への対応が可能な点などメリット自体は一定の理解をしていた一方で、これまでチャットボットを導入した経験がないことから足踏みしました。とりわけ人の手による応募受付対応から機械での対応に切り替わる点を懸念していました。この懸念というのは、機械への切り替えによるミスの発生はもちろんですが、現在挙げている成果を上回ることができるのかといった点と、従来の応募受付フローに影響は出ないかといった点にありました。」
こうした複数の懸念を払拭するため、ノーザンライツはサトフードサービスとコールセンター、チャットボットを提供するリードパス社の4社のステークホルダーを巻き込んで綿密な打ち合わせを行いました。この打ち合わせにより、採用チャットボット対応実績のあるコールセンターへ新たに切り替えることで採用チャットボットを導入することができるとの結論に至り、サトフードサービスはリクター導入に合意しました。
リクター導入により新たな応募受付フローでの運用が2023年3月に開始しました。新たなフローは次のとおりです。
求人メディアへ応募があった際ほぼリアルタイムで、チャットボットが自動で応募受付を行い面接設定対応を行います。その後、コールセンターが1日1回リクターの管理画面から応募情報がまとめられているCSVを抽出しATSに取り込みます。また、コールセンターはチャットボットから送付されたSMSを未開封の応募者に対して架電し面接設定対応を行います。
このようにサトフードサービスはチャットボットが自動で面接設定をし、他方でチャットボットを介することによる面接設定が完了していない応募者に対しコールセンターが直接架電をするといった網羅的な対応スキームの構築を実現しました。
【導入による成果】
チャットボット導入により、採用コスト軽減と採用効率向上の両方を実現
採用チャットボット『リクター』の導入により、当初より抱えていた採用課題であるコールセンターによる採用予算圧迫の解消の実現に成功しました。要因は自動受付による機械での応募受付対応とコールセンターを併用したことにあります。また、採用チャットボット導入から間もない段階で、高いチャット入力率を維持することができている点もコスト低減に大きく寄与しています。通常、チャットの入力率の平均値は70〜80%程度が相場である一方、サトフードサービスは入力項目が0〜1項目と入力が必要な項目が少ないことから90%を上回る高いチャット入力率といいます。
コスト低減効果に加えて、応募からの採用率アップや夜間応募者の面接設定率向上などの副次的効果について奈良平氏は次のように述べます。
「人の手を介さずにチャットでの面接設定率がこれほど高いとは想定外でした。リクターを導入してから応募からの採用率が5.2%アップしています。これまで取りこぼしていた当社が求める応募者の面接設定がしっかりとなされていることが起因していると考えています。採用率の向上に加えて、これまで全ての応募の40%を占めていた夜間の時間帯に応募をする求職者の面接設定率が低かったのですが、リクターを導入してから昼間に応募をしてくださる求職者の面接設定率と同水準まで引き上げられた結果を受け、当社の応募者層に対してチャットボットの親和性が高かったのだと実感しています。チャットボット導入にあたっては当初より、採用効率の向上も狙っていましたが、その点においても概ね満足行く成果を挙げられていると思います。加えて導入以前よりも高い成果を挙げている点に対して、高く評価をしています。」
近年電話を取ってくれない求職者が増加する中、サトフードサービスではチャットでの応募受付対応へ切り替えたことで連絡が取れない応募者の数が66%減少したという成果も挙げています。
リクターによって採用効率がアップ、採用プロセスのDXを実現
当社のような飲食業界では求職者様の争奪戦が以前にも増して激化する中、当社がリクターによって実現した採用プロセスのDXは、競合優位性の高い施策となったのではないかと思います。チャットボット導入という施策は当社にとって初めての挑戦ということもあり、当初は二の足を踏んでしまいましたがもっと早くに導入しておくべきだったと今更ながらに思います。
もとよりリクター導入の背景にはコールセンターの対応件数が増加したことによる採用予算圧迫があり、この課題を解消する手立ての一つとして同製品を活用することを決めました。ところがリクターを導入してみると、夜間の時間帯に応募してくださる応募者様の面接設定率の向上や採用率の向上など想定外の成果を上げることができました。夜間の応募者対応といったような、チャットボット以外では改善することが困難であった課題に対してもアプローチできたことは大きな成果であったと捉えています。
ノーザンライツ社には長年アルバイト・パート採用のソリューションを提供してもらっていますが、リクター導入のような当社にとってクリティカルな採用施策を今後もご提案頂きたいと考えています。ノーザンライツ社がお持ちである採用に関する幅広いノウハウや知見をお借りし、今後もさらなる採用効率向上に向けて当社の採用成功に伴走いただければと思います。